言語を仕分けるのは誰か ポーランドの言語政策とマイノリティ (貞包 和寛,明石書店)

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言語を仕分けるのは誰か

 

言語を仕分けるのは誰か  これから出る本

ポーランドの言語政策とマイノリティ

本書ではポーランドの言語状況を、ポーランドにおけるカシューブ語、シロンスク語、レムコ語といったマイノリティ言語を対象として、マジョリティ言語であるポーランド語話者により形成される意見・意図を含めて社会言語学的に分析し相対的に記述する。
 
目次
 はじめに

第1章 序論―言語の不可算性と言語分類―
 1.1 問題提起
 1.2 方法論
  1.2.1 分類を体現する装置としての名称
  1.2.2 言語分類の基準としての言語学、方言学:言語学的分類
  1.2.3 言語分類の基準としての言語政策:政策的分類
  1.2.4 言語学的分類と政策的分類の対照
 1.3 序論の総括:本書の目的と本章のまとめ
  1.3.1 言語学と言語政策の対照研究とその必要性
  1.3.2 目的(1):政策的分類が言語学的分類に与えた影響を明らかにすること
  1.3.3 目的(2):政策的分類の意図を明らかにすること
  1.3.4 本書におけるマイノリティ集団の位置付け

第2章 研究対象の選出
 2.1 本書における「言語」というタームの使用方法
 2.2 研究対象の3言語:カシューブ語、シロンスク語、レムコ語
 2.3 研究対象3言語の基本情報
  2.3.1 カシューブ語
  2.3.2 シロンスク語
  2.3.3 レムコ語
 2.4 研究対象3言語の基本情報のまとめ

第3章 言語学的分類
 3.1 タームの間のヒエラルキー
  3.1.1 「言語」と「方言」
  3.1.2 「エトノレクト」
  3.1.3 言語記述とターム選択の非関連性
 3.2 カシューブ語について
  3.2.1 カシューブ語の研究史
  3.2.2 カシューブ語の言語学的分類
 3.3 シロンスク語について
  3.3.1 シロンスク語の研究史
  3.3.2 シロンスク語の言語学的分類
 3.4 レムコ語について
  3.4.1 レムコ語の研究史
  3.4.2 レムコ語の言語学的分類
 3.5 第3章の総括
  3.5.1 コーパスの記述と言語学的分類の非関連性
  3.5.2 言語ごとに見る言語学的分類の揺れ:多様性と背景

第4章 政策的分類
 4.1 ポーランド共和国のステータス計画と国勢調査の結果
  4.1.1 憲法ポーランド語法
  4.1.2 マイノリティ法
  4.1.3 国勢調査の結果(2002年、2011年)
 4.2 マイノリティ法の背景:欧州評議会の憲章と枠組条約
  4.2.1 憲章と枠組条約の概要
  4.2.2 憲章と枠組条約における「言語」と「マイノリティ」
 4.3 マイノリティ法の分析
  4.3.1 ステータス計画分析の方法論:法令内的問題と法令外的問題
  4.3.2 法令内的問題(1):「マイノリティ」と「マイノリティ言語」
  4.3.3 法令内的問題(2):地域言語/マイノリティ言語の不自然な区分
  4.3.4 法令外的問題(1):使用されていない言語
  4.3.5 法令外的問題(2):カシューブ問題
  4.3.6 法令外的問題(3):シロンスク問題
  4.3.7 マイノリティ法におけるレムコ人(語)の位置付け
 4.4 第4章の総括
  4.4.1 マイノリティ法による分類の意図
  4.4.2 多言語主義を標榜する政策の選択性・疎外性

第5章 結論
 5.1 これまでの議論の振り返り
  5.1.1 結論(1):マイノリティ法が言語学的分類に与えた影響
  5.1.2 結論(2):言語学的知見から見るマイノリティ法の背景と意図
 5.2 本書全体の総括および今後の研究課題

第6章 [補章]マイノリティ法全文訳

 参考資料一覧
 おわりに
 
 
 
貞包 和寛
  サダカネ カズヒロ

プロフィール

1988年佐賀県生まれ。東京外国語大学国語学ポーランド語専攻卒業。ポーランド政府奨学金奨学生、日本学術振興会特別研究員(DC2)を経て、東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。
【近著】
ウクライナを知るための65章』(明石書店、2018年)第18章「ウクライナ、ルシン、レムコの多層的な関係――国家の隙間に生きる人々と言葉」
【論文】
ポーランドのマイノリティ法の批判的分析――シロンスク地方の言語問題を例として」『言語政策』15号、1-30頁、2019年。
“The International Distinction Between a Regional Language and a Minority Language in Poland’s Minority Act” Contributions to the 22nd Annual Scientific Conference of the Association of Slavists, vol. 22, pp.218-225, 2019.