新刊『あそび/労働/余暇の社会学』


あそび/労働/余暇の社会学: 言語ゲーム・連字符カテゴリー・知識社会学を介した行為論

あそび/労働/余暇の社会学: 言語ゲーム・連字符カテゴリー・知識社会学を介した行為論

http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/461.htm

あそび/労働/余暇の社会学

言語ゲーム・連字符カテゴリー・知識社会学を介した行為論

[著]ましこ・ひでのり

遊ぶ/はたらくことで、現代人は一体なにをやっているのか?
「連字符(ハイフン)社会学」(マンハイム)と「理念型」、そして「言語ゲーム」「家族的類似」(ヴィトゲンシュタイン)など社会学/哲学の提供してきた視座から、《あそび》と《しごと》の多義性・連続性をあきらかにすることで、労働/遊戯/余暇の本質を立体的=可視的にうきぼりにする。

定価=本体 2,500円+税
2018年6月30日/四六判並製/256頁/ISBN978-4-88303-461-1


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[目次]

はじめに

Ⅰ部 理念型を介した労働概念の再検討

  1  はじめに:理念型としての「連字符(ハイフン)労働」の提起

  2  連字符労働 1 =対生命労働 (ヒトをふくめた動植物へのはたらきかけ)
      2 − 0 .対生命労働:ヒトをふくめた動植物へのはたらきかけの本質
      2 − 1 .対生命労働 1 :「感情労働
      2 − 2 .対生命労働 2 :「教育/支配労働」
      2 − 3 .対生命労働 3 :「ケア労働」
      2 − 4 .対生命労働 4 :「救助/救出労働」
      2 − 5 .対生命労働 5 :「捕獲/収穫労働」
      2 − 6 .対生命労働 6 :「犯罪労働」
      2 − 7 .対生命労働 7 :「パフォーマンス労働」
      2 − 8 .対生命労働 8 :「政治労働」
      2 − 9 .対生命労働 9 :「提供労働」
      2 − 10 .対生命労働 10 :「サービス労働」
      2 − 11 .対生命労働 11 :「求人/派遣労働」
      2 − 12 .対生命労働 12 :「性労働
      2 − 13 .対生命労働 13 :「殺傷/暴行労働」
      2 − 14 .対生命労働 14 :「コミュニケーション労働」

  3 .連字符労働 2 =対物労働 (非生命へのはたらきかけ)
      3 − 0 .対物労働:非生命へのはたらきかけの本質
      3 − 1 .対物労働 1 :「加工労働」
      3 − 2 .対物労働 2 :「メンテ(ナンス)労働」
      3 − 3 .対物労働 3 :「発見/発掘‐採掘/回収労働」
      3 − 4 .対物労働 4 :「処理労働」
      3 − 5 .対物労働 5 :「文書労働」
      3 − 6 .対物労働 6 :「売買労働」
      3 − 7 .対物労働 7 :「学習労働」
      3 − 8 .対物労働 8 :「完成労働」

  4 .連字符労働 3 =対時空労働 (時間ないし空間での種々の行為・待機)
      4 − 0 .対時空労働:時間ないし空間での種々の行為・待機の本質
      4 − 1 .対時空労働 1 :「待機労働」
      4 − 2 .対時空労働 2 :「監視労働」
      4 − 3 .対時空労働 3 :「制圧/排除/隔離/駆除労働」
      4 − 4 .対時空労働 4 :「抵抗/確保労働」
      4 − 5 .対時空労働 5 :「整理/整頓/清掃労働」
      4 − 6 .対時空労働 6 :「移動/輸送労働」
      4 − 7 .対時空労働 7 :「受忍労働」
      4 − 8 .対時空労働 8 :「破壊労働」
      4 − 9 .対時空労働 9 :「ハイリスク労働」
      4 − 10 .対時空労働 10 :「経営労働」
      4 − 11 .対時空労働 11 :「ゲーム労働」
      4 − 12 .対時空労働 12 :「推理労働」
      4 − 13 .対時空労働 13 :「シミュレーション労働」
      4 − 14 .対時空労働 14 :「調査労働」

  5 .理念型としての連字符労働概念の射程:いわゆるサービス業の解析をとおして
      5 − 1 .教員の職務の解析
      5 − 2 .主婦・主夫の職務の解析
      5 − 3 .アニメーターの職務の解析

Ⅱ部:理念型を介したゲーム概念の再検討

  6 .理念型「連字符ゲーム」の提起による「ゲーム理論 2 」の提起

  7 .連字符ゲーム 1 :対生命ゲーム (動植物あいてのあそび)
      7 − 0 .対生命ゲーム:ヒトをふくめた動植物あいての、たのしみかたの本質
      7 − 1 .対生命ゲーム 1 :「感情ゲーム」
      7 − 2 .対生命ゲーム 2 :「教育/支配ゲーム」
      7 − 3 .対生命ゲーム 3 :「ケアゲーム」
      7 − 4 .対生命ゲーム 4 :「救助/救出ゲーム」
      7 − 5 .対生命ゲーム 5 :「捕獲/収穫ゲーム」
      7 − 6 .対生命ゲーム 6 :「犯罪ゲーム」
      7 − 7 .対生命ゲーム 7 :「パフォーマンスゲーム」
      7 − 8 .対生命ゲーム 8 :「政治ゲーム」
      7 − 9 .対生命ゲーム 9 :「提供ゲーム」
      7 − 10 .対生命ゲーム 10 :「サービスゲーム
      7 − 11 .対生命ゲーム 11 :「求人/派遣ゲーム」 
      7 − 12 .対生命ゲーム 12 :「性ゲーム」 
      7 − 13 .対生命ゲーム 13 :「殺傷/暴行ゲーム」
      7 − 14 .対生命ゲーム 14 :「コミュニケーションゲーム」 

   【以下 略】

雑誌『世界』6月号(岩波書店)

https://www.iwanami.co.jp/book/b361266.html



刊行日 2018/05/08
目次

┏━━━┓
┃ 特集 ┃メディア──忖度か対峙か
┗━━━╋…────────────────────────────────

〈介入に屈せず〉
表現の自由が向かう先──メディアはこの時代をどう伝えるか
田島泰彦(元上智大学教授)

〈メディアの変化〉
劣化する政権とメディア
望月衣塑子(東京新聞

〈“Abe TV ”?〉
民放解体を目指した安倍放送改革
原 真(共同通信

〈探査ジャーナリズム〉
公共圏,アンタゴニズム,そしてジャーナリズム
花田達朗(早稲田大学ジャーナリズム研究所前所長)

〈市民がメディアを支える〉
公共放送を取り戻すための韓国放送人と市民たちの抵抗に学ぶ
岡本有佳(編集者)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

〈ゆがめられた教育〉
加計・森友・日報問題の本質と政治・行政の責任──モラルハザード・モラルジレンマと信頼基盤の解体
藤田英典共栄大学

〈危険な科目〉
学びの統制と人格の支配──新設科目「公共」に注目して
中嶋哲彦(名古屋大学

〈先立つものは……〉
候補者の誕生(下)─―候補者と選挙資金
井戸まさえ(元衆議院議員

〈座談会〉
移民国家・日本のいのちの差別──隠される外国人の労働問題
鳥井一平(移住連)×村山敏(神奈川シティユニオン)×飯田勝泰(東京労働安全衛生センター)×指宿昭一(弁護士)

〈イタリア政治,続く例外状況〉
五つ星運動」の勝利は何を意味するのか
村上信一郎(神戸市外国語大学名誉教授)

〈隣国の表現の営み〉
記憶を鍛え,表現しつづける──済州島4・3事件から70年の美術
古川美佳(朝鮮美術文化研究者)

〈世界的潮流を知る〉
グリッドガール廃止をめぐるあれこれ──無意識の女性蔑視という罪
伊達軍曹(モータースポーツジャーナリスト)

〈すべて記録すべき?〉
差別とことば──国語辞典で差別語はどうあつかうべきか
ましこ・ひでのり(中京大学

〈追悼〉
金子兜太のあゆみは永遠に
安西 篤(俳人

〈立ち上がった六〇代〉
農村の原風景を守る酒造り──新政酒造が地域を醸す
小坂佳子(読売新聞)

改憲案批判〉
自民党の四七条改憲案と一票の価値
伊藤 真(弁護士)

〈「押しつけ」説の破綻〉
憲法九条は誰が発案したのか──幣原喜重郎と「平野文書」
笠原十九司歴史学者

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◇ヴィクトル・オルバーンの三選──EUの小国に君臨するポピュリストの実像
田吉

◇東南アジアに広がる権威主義のドミノ
柴田直治

◇荒瀬ダム撤去でみたい川,人,海の環境回復
まさのあつこ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●【新連載】仮想通貨は幻想通貨?(第1回)
ビットコインの概要と仕組み
中島真志(麗澤大学

●脳力のレッスン【194】特別篇
ジェロントロジーの新たな地平──異次元の高齢化社会に向き合う柔らかい構想力
寺島実郎

●新語解題【第4回】
相対音感──共に生きていくために身につく力
最相葉月(ノンフィクションライター)

●映像世界の冒険者たち【第2回】
廃墟の近傍──王兵
四方田犬彦比較文学・映画研究家)

●アパレル興亡【第10回】
黒木 亮(作家)

●海の底から【第16回】
金石範(作家)

●私的小豆島名所【その35】
内澤旬子(イラストルポライター

●トランプのアメリカに住む【第5回】
反転したアメリカンドリーム──労働者階級文化のゆくえ
吉見俊哉東京大学

●それぞれの出ウチナー記 海を越えるアイデンティティー【第9話】
――米兵花嫁が支えるアメリカ県人会
三山 喬(ジャーナリスト)

●神を捨て,神になった男 確定死刑囚・袴田巖【第16回】
――「自白した,傷がある,犯人だ」
青柳雄介(ジャーナリスト)

●〈周縁〉の「小さなアメリカ」【第6回】
「非合法移民」という現実──村田勝幸との対話
中村 寛(多摩美術大学

●中国新建築文化論【第13回】
ラグジュアリーなラフ──上海のコンバージョン建築の潮流
市川紘司(東京藝術大学助手)

●読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子俳人

●メディア批評【第126回】
神保太郎(ジャーナリスト)

原発月報――(18・2〜4)
福島原発事故記録チーム

片山善博の「日本を診る」(103)
議員年金復活論への大いなる違和感
片山善博早稲田大学

●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建

●ドキュメント激動の南北朝鮮(250)――(18・3〜4)
編集部



世界 2018年 06 月号 [雑誌]

世界 2018年 06 月号 [雑誌]

新刊『行動する社会言語学:ことば/権力/差別Ⅱ』(三元社)

かどや・ひでのり ほか編著

行動する社会言語学: ことば/権力/差別II

行動する社会言語学: ことば/権力/差別II

http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/449.htm

[編著]かどや・ひでのり/ましこ・ひでのり

ことばへの権利とはなにか
ことばや障害が原因となって社会的に排除される現象や、社会言語学として提示されているさまざまな記述を再検証し、さらに問題として認知すらされていない、ことばやコミュニケーションにかかわる諸問題を発見し、少数者/情報弱者にひらかれた新しい言語観を提示する。

定価=本体 3,000円+税
2017年12月15日/A5判並製/320頁/ISBN978-4-88303-449-9


[目次]

はじめに   9

第 1 章 日本の 社会言語学は なにをしてきたのか。どこへ いこうと しているのか。
― 「戦後日本の社会言語学」小史/ましこ・ひでのり   13
   1.  はじめに:ウィキペディア風の社会言語学的スケッチ   13
   2.  日本における社会言語学の位置と歴史的経緯   14
   3.  日本列島上の言語研究がおった特殊な経緯   22
   4.  広義の社会言語学の展開: 21 世紀の動向   30
   5.  結論:総括と展望   38

第 2 章 言語における「自然」 と「人為」― 説明用語から分析対象への転換/木村護郎クリストフ   47
   1.  言語の自明性を問うこと   47
   2.  「人工」、「人為」の二つの意味   48
      2.1  なんらかの現象が自明の前提とされ、それ以上問われない   49
      2.2  価値判断が含まれている   50
   3.  言語活動の二分法をもたらす言語観   51
   4.  「自然言語」と「人工言語」の分類基準   55
      ①曖昧性の除去 ②明確な出発点 ③訓練による言語習得(母語話者なし)
      ④言語計画による標準化 ⑤文字化 ⑥差異化
   5.  分類基準の混乱   58
   6.  二分法をこえる動き   61
   7.  社会言語学はどのような言語観を提示するのか   63

第 3 章 ことば・情報のユニバーサルデザイン― 知的障害児・者と言語の関係を中心に/打浪(古賀)文子   67
   1.  はじめに:知的障害児・者と「ことば」をめぐって   67
   2.  知的障害児・者と言語的状況の諸様相   69
   3.  知的障害児・者と「言語」の相関①:障害学的観点から   73
      3.1  知的障害と障害の「社会モデル」   73
      3.2  インペアメントとディスアビリティ   75
   4.  知的障害児・者と「言語」の相関②:社会言語学的観点から   77
      4.1  知的障害児・者と「言語権」   77
      4.2  知的障害児・者と「言語差別」   79
   5.  知的障害児・者のニーズに応えるために   83
   6.  「ことば・情報のユニバーサルデザイン」   85
      6.1  「ことば・情報のユニバーサルデザイン」とは   85
      6.2  「ことば・情報のユニバーサルデザイン」の実践例   87
   7.  おわりに:情報の受け取り手としてのわれわれ   88

第 4 章 言語観教育序論―ことばのユニバーサルデザインへの架け橋/仲 潔   97
   1.  はじめに   97
      1.1  本稿の問題意識とねらい   98
      1.2  なぜ英語科教育なのか   101
   2.  「言語=道具」教育の限界   102
      2.1  言語は道具なのか   102
      2.2  言語が道具であるならば   104
      2.3  「言語道具観」教育の特徴   106
   3.  言語意識教育の限界   108
      3.1  言語意識教育と言語学習   108
      3.2  批判的言語意識教育と言語観教育   108
   4.  検定済み中学校英語教科書の閉ざされた価値観   113
      4.1  教科書で扱われる対象の多様化とその視点の偏狭さ   113
      4.2  現実への対応として求められる言語観教育   118
   5.  おわりに:「ことばのユニバーサルデザイン」への架け橋としての言語観教育   119
      5.1  ことばのユニバーサルデザイン   119
      5.2  英語科教育における言語観教育の射程範囲   120

第 5 章 〈コミュニケーション能力の育成〉の前提を問う― 強いられる〈積極性/自発性〉/仲 潔   125
   1.  はじめに   125
   2.  イデオロギーとしてのコミュニケーション能力   128
      2.1  コミュニケーション能力の位置づけ:言語・言語活動の強調   128
      2.2  求められるコミュニケーション能力:積極的な態度と「伝え合う」ことの強要   130
   3.  偏狭なコミュニケーション能力観   132
      3.1  伝達モデルを支える言語至上主義:スローガンとしての「コミュニケーション」   135
      3.2  伝達モデルの問題点( 1 ):コミュニケーションは「目的達成の手段」なのか   136
      3.3  伝達モデルの問題点( 2 ):コミュニケーションは「伝え合う」ことなのか   138
   4.  強いられる「積極性/自発性」:奪われる「居場所」   140
      4.1  積極性/自発性の強要   140
      4.2  「居場所」を失う学習者たち   142
   5.  おわりに:これからの「コミュニケーション能力の育成」を考えるために   145
      5.1  コミュニケーション能力観の「負」の側面   146
      5.2  コミュニケーション能力の育成における留意点   147

第 6 章 原発と英語―日本における普及過程、問題構造および対策の共通性/木村護郎クリストフ   153
   1.  はじめに:比較のなかの原発   153
   2.  原発と自動車   154
   3.  原発と英語の普及過程の並行性   157
   4.  原発と英語の問題構造の同型性   159
      4.1  批判精神の欠如   160
      4.2  依存と従属による「植民地主義」   163
      4.3  原動力としての「欲望の開放」   167
   5.  対象の類似点:脱原発依存と脱英語依存   171
      5.1  多角分散型へ   171
      5.2  節度をもって使う:「節電」と「節英」   173
   6.  おわりに:英語・原発比較論の限界と意義   176

第 7 章 「言語権的価値」 からみたエスペラントエスペラント運動/かどや・ひでのり   181
   1.  問題の所在   181
   2.  言語権とエスペラントの関係:理論的根拠としての言語権   182
   3.  価値の基準としての言語権:「言語権的価値」について   186
   4.  言語権的価値からみたエスペラント学習観:発展段階論的学習観というおとしあな   188
   5.  言語民主主義と言語規範の一般的関係   196
   6.  エスペラントにおける言語規範の位置   199

第 8 章 多言語化の多面性―言語表示から通訳ボランティアまで/糸魚川美樹   205
   1.  はじめに   205
   2.  多言語化の背景   205
   3.  多言語化の目的:「公共圏」における言語権   207
   4.  地域社会における情報の多言語化   209
      4.1  街頭の多言語化   210
      4.2  多言語情報提供とボランティア   215
           4.2.1  「語学ボランティア」   215
           4.2.2  医療分野の多言語化   217
      4.3  多言語化への関わり方   219
   5.  言語の選択   221
   6.  おわりに   223

第 9 章 障害をもつ身体が性暴力被害にあったとき― マイナー・マイノリティの「つたわらない」困難
/すぎむら・なおみ   225
   1.  はじめに   225
   2.  「事件」の概要   226
   3.  「被害」後の困難   227
      【医療現場で】 【性暴力の相談窓口】
      【障害者むけの相談窓口】 【警察】
   4.  「裁判」における困難   234
      【弁護士をさがす】
   5.  「支援者」との出会い   237
   6.  「身にしみた」こと、とは   238
   7.  おわりに   240
      資料① 森崎里美さんの被害とたたかいの経緯   242
      資料② 「事件」の背景と、その後の被害   243

第 10 章 左手書字をめぐる問題/なかの・まき   247
   1.  はじめに   247
   2.  「左手利き」はどのようにかたられてきたか   249
      ( 1 )社会的要因説 ( 2 )遺伝説 ( 3 )病理説
   3.  左手書字の問題点   253
      3.1  文字がかきにくいこと   253
      3.2  左手書字と教育   255
           3.2.1  国語(書写・書道)教育の筆順について   255
           3.2.2  日本語教育の筆順教育について   258
           3.2.3  なんのための筆順か   260
      3.3  「美しい」文字の問題   262
   4.  左手書字者をめぐる問題   265

第 11 章 だれのための「ビジネス日本語」か
― 言語教育教材としての 「ビジネス日本語マナー教材」 にみられる同化主義/なかの・まき   271
   1.  はじめに   271
   2.  ビジネス日本語マナー教材の諸要素   272
      2.1  言語事項にかかわるマナー   273
      2.2  みだしなみ関連項目   275
      2.3  日本企業文化について   277
      2.4  「日本人」の文化   280
   3.  「ビジネスマナー」の規範化   282
   4.  だれのための・なんのためのビジネス日本語か   288
   5.  「学習者・外国人社員」の「ため」の「ビジネス日本語」はどうあるべきか   295

おわりに   303

執筆者紹介   305


【関連文献】

ことば/権力/差別―言語権からみた情報弱者の解放

ことば/権力/差別―言語権からみた情報弱者の解放

http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/315.htm


言語現象の知識社会学: 社会現象としての言語研究のために

言語現象の知識社会学: 社会現象としての言語研究のために

http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/444.htm


http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/367.htm


知の政治経済学―あたらしい知識社会学のための序説

知の政治経済学―あたらしい知識社会学のための序説

http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/266.htm

『おそい・はやい・ひくい・たかい』No.99

岡崎勝さん編集

http://www.japama.jp/cgi-bin/detail.cgi?data_id=400

2017年11月25日刊行 

おそい・はやい・ひくい・たかい
A5/144頁/本体価格1,200円/ISBN978-4-88049-599-6
◆No.99/特集



処方の原則は? 使用期間は? 発達障害 大人が変われば「薬」はいらない!?




No.99
Contents

特集
処方の原則は? 使用期間は?
発達障害
大人が変われば「薬」はいらない!?

8
漫画

迷う、悩む、学校へ通うために……
うちの子は、どうしたらいいの?
イラストレーター みやこ小路


10
読者の声
薬を使えばよくなる!?
診断に疑問も……


13
大人にとって「便利なもの」だから……
―学校と医療がつながる理由
フリーライター 嶋田和子


21
【ちら読みOK! この項目(p21〜24)をこちらで読むことができます】
相談が圧倒的に多くなりました
―足かけ四五年の乳幼児相談の現場から

心理カウンセラー 内田良子


学校・先生は、薬をどう感じている?

28
(1)担任の立場から
「おちつきがない」子どもと向きあうときに
小学校教員・本誌編集人 岡崎 勝


33
(2)養護教員の立場から
担任や保護者が「効果あり」と感じていても……
養護教員 内田恵理

精神科のお医者さんに聞くQ&A


40
Q1 どんなとき、薬で治療するの?
A 症状がくり返し現れ、本人が苦痛に感じるときに
児童精神科医 山登敬之


45
発達障害に使われるおもな薬
監修 児童精神科医 山登敬之


46
Q2 薬の影響はあるの? 副作用は?
A 長期使用のリスクは未知。なかには幻覚・妄想などの副作用も
児童精神科医 清水 誠


52
Q3 薬に「依存」するとき、将来は……?
A 一概に「薬はダメ」というのではなく
精神科医 松本俊彦


「学校・医療者・薬」でトラブりそうな
ときの処方箋
60
(1)就学時健診で指摘された、特別支援をすすめられたとき支援側はどうすればよいかを発信して
答える人 小児科医・児童精神科医 淺野ありさ


64
(2)教育相談、医療機関の受診をすすめられたとき
誰のために相談、受診するかを考えて
答える人 小学校教員 大和俊広


68
(3)特別支援学級・通級の注意点
学級を移すのは最終手段
答える人 元小学校教員 三輪義信


72
(4)専門家・医者に頼りたいと思ったとき
専門家への相談は、かえってマイナスになる可能性も
答える人 小児科医 山田 真


77
【ちら読みOK! この項目(p77〜79)をこちらで読むことができます】

特集のおわりに
もう少し、学校生活の過ごし方を工夫しませんか!
小学校教員 岡崎 勝



連載
81
小学生娘の母・みやこ小路のひとコマ劇場(9)
小3に初めてひとりでおつかいを頼んだ日
イラストレーター みやこ小路


82
男親〈父・祖父・近所のおじさん〉の社会学(9)
政治にどう反応するか―親の損得勘定による弊害
社会学者 宮台真司


90
アニメをこんなふうに観てみると(9)
トイ・ストーリー』で気づく大事にされる権利
児童文化研究者 村瀬 学


97
岡崎編集人のズバッといってみたりして(20)
親の教育史――(1)
いまの親たちは、どう教育されたか?
小学校教員 岡崎 勝


102
障害のある子は、普通学級に行けないの?(26)
面談での加点による「選考の特例」
小児科医 山田 真


108
ohaの本棚
『批判的スポーツ社会学の論理 その神話と犯罪性をつく』
(影山 健著、自由すぽーつ研究所編)
読んだ人 小学校教員 岡崎勝


109
創刊のことば


110
編集後記


111
次号予告


112
み・ん・な・の声


114
Oha編集部から


115
ジャパマ講演・イベント情報


116
募集します!


118
「ち・お」「お・は」を読む会リスト


120
[アピール]原発のない日本を


122
インフォメーション
ジャパンマシニスト
各種お問いあわせ先


123
『おそい・はやい』バックナンバー常備店


128
追悼 毛利子来さん


【関連文献】

批判的スポーツ社会学の論理 ―その神話と犯罪性をつく

批判的スポーツ社会学の論理 ―その神話と犯罪性をつく

みんなでトロプス―敗者のないゲーム入門

みんなでトロプス―敗者のないゲーム入門

『社会言語学』17号(「社会言語学」刊行会)

http://www.geocities.jp/syakaigengogaku/2017.html


『社会言語学』XVII(2017年)


論文:
アメリカにおける多言語サービスと言語アクセス法

角 知行

駅の表示における「多言語表示」の定量的研究

野田 実紀

日本手話の解放運動は何に力を注ぐべきか

中島 武史

言語権からみた「日本語教育推進法案」の問題点
杉本 篤史

中学校「国語」・「英語」教科書における「異文化間交流」像

      • 「コミュニケーション能力の育成」の前提を問う(その 3) ---

仲 潔/岩男 考哲

外国にルーツを持つ子どもたちへの言語教育支援

大山 万容

日本語を教える「わたし」とその言語教育観について
あだち ゆーこ

調査報告:
台湾の図書館とその周辺

      • 日本の状況と対比して ---

あべ・やすし

書評/書評への応答:
木村 護郎クリストフ 著『節英のすすめ 脱英語依存こそ国際化・グローバル化のカギ!』
(萬書房、2016 年)
唐須 教光

節英というひかえめでラディカルな営為
木村 護郎クリストフ 著『節英のすすめ 脱英語依存こそ国際化・グローバル化のカギ!』
(萬書房、2016 年)
かどや ひでのり

英語に厳しすぎか甘すぎか

      • 『節英のすすめ』(萬書房、2016 年)の二つの書評への応答 ---

木村 護郎クリストフ

「もと関西系テレビマン」による社会言語学的テレビ史
吉村 誠 著『お笑い芸人の言語学 — テレビから読み解く「ことば」の空間 —』
(ナカニシヤ出版、2017 年)
ましこ・ひでのり

「ましこひでのり氏の書評」に応えて
吉村 誠

日本語能力主義をこえたとして...
クァク・ジョンナン 著『日本手話とろう教育 — 日本語能力主義をこえて — 』
(生活書院、2017 年)
すぎむら なおみ

韓国手話言語法の制定とろう教育の課題について
クァク・ジョンナン

移民政策を持たぬ国の「外国人人材」受け入れの実状と課題
布尾 勝一郎 著『迷走する外国人看護・介護人材の受け入れ』
ひつじ書房、2016 年)
東 弘子

既刊号目次/本誌への投稿について
(頒価3000円/本体)

CiNii 所蔵一覧

「社会言語学」刊行会


節英のすすめ: 脱英語依存こそ国際化・グローバル化対応のカギ

節英のすすめ: 脱英語依存こそ国際化・グローバル化対応のカギ

お笑い芸人の言語学: テレビから読み解く「ことば」の空間

お笑い芸人の言語学: テレビから読み解く「ことば」の空間

日本手話とろう教育――日本語能力主義をこえて

日本手話とろう教育――日本語能力主義をこえて

迷走する外国人看護・介護人材の受け入れ

迷走する外国人看護・介護人材の受け入れ

平高史也・木村護郎クリストフ編『多言語主義社会に向けて』くろしお出版

http://www.9640.jp/book_view/?740

新刊
多言語主義社会に向けて
平高史也/木村護郎クリストフ[編]
価格2,200円+税
ISBN978-4-87424-740-2 C1087
発売日2017/10/30
判型A5
ページ数240頁
ジャンル言語政策 ― 言語政策入門
オンライン書店amazon.co.jp 楽天ブックス
外に向けては英語、内に向けては日本語ばかりが話題になりがちな日本社会でも、英語、日本語以外の言語を用いたさまざまな営みや教育が行われています。言語の多様性への気付きを促すそのような動きは、異なる言語や文化の背景を持つ人たちとの交流や相互理解に対して開かれた社会、すなわち相互に密接に関連し合っている世界の現状と未来によりよく対応・・・(全文を読む)
関連情報目次はじめに
序章 多言語主義社会を考えるために(木村護郎クリストフ・平高史也)

第1部 日本における多言語教育の実態と展望

第1章
小学校における多言語活動の可能性(吉村雅仁)

第2章
高等学校における多言語の学びに向けて(山下 誠)

第3章
大学で多言語を学ぶ意義(國枝孝弘)

第4章
多言語教育における放送メディアの役割(鎌倉千秋・平高史也)

第5章
複言語・多言語教育推進への道
―日本外国語教育推進機構JACTFLの設立―(山崎吉朗)

Column 1
多言語教育の挑戦とその変遷―慶應義塾志木高等学校の場合―(岡田吉央)

多言語主義社会に向けて

多言語主義社会に向けて

新刊:三浦耕吉郎『エッジを歩く』

いただきもの。
「手紙による差別論」という副題をもつ、社会学的調査論・差別論。

エッジを歩く―手紙による差別論―

エッジを歩く―手紙による差別論―

版元紹介ページから


著者 三浦 耕吉郎 著
ジャンル 社会
出版年月日 2017/10/30
ISBN 9784771029361
判型・ページ数 4-6・230ページ
定価 本体2,400円+税

内容説明
その気もないのに差別させられる、現代社会における構造的差別に照準し、「差別する者であると同時にされる者」としての生の倫理のありか(=「エッジの歩き方」)を、平易な手紙文体で描きだす。フィールドと文体のコラボで紡ぐ先鋭な差別論


《目 次》
第1部 フィールドの日常/私の日常
第1の手紙 生活の深みへ
〜聞き取り現場でのささいな出来事から、生活に沈潜していた被差別経験の突然の噴出が私たちにもたらす衝撃〜
第2の手紙 こんなきっかけからでも
〜部落に興味をもった学生の好奇心にゆれる心の彷徨〜
第3の手紙 穢れとつきあう
〜穢れの観念を否定しようとしない部落の人びとの柔軟な生〜
第4の手紙 こっけいだった私
〜その気もないのに差別させられる、現代社会における構造的差別〜
第5の手紙 処世の知恵
〜結婚に際して、親の差別意識との正面からの衝突を回避しつつ折り合いをつけていく処世の術〜

第2部 ディスコミュニケーションのただなかへ
第1の手紙 差別ってなんだろう
〜差別する側とされる側に横たわるディスコミュニケーションとは〜
第2の手紙 人と人を結ぶ太鼓
〜太鼓の胴をのぞいてみると、そこには歴代の太鼓師の名が…〜
第3の手紙 どうしてうちの在所だけ調べるん?
〜調査を断られるという得難い体験〜
第4の手紙 屠場にて
〜屠場でカメラをむけたときの屠夫長さんの怒りと、いまだに続く屠場差別の構造〜
第5の手紙 差別者の憂鬱とともに
〜思いがけず差別をしてしまった者の戸惑いと倫理とは〜

第3部 エッジを歩く
第1の手紙 私の手になれますか?
〜重度の身体障害者によるラディカルな問い掛けがもつ射程の広がり〜
第2の手紙 ねたみ意識というけれど
〜同和対策事業が地域社会になげかけた波紋を、ある差別発言から考える〜
第3の手紙 死者へあてた手紙
〜部落解放運動をになったある在日朝鮮人の人生の軌跡〜
第4の手紙 アイデンティティ以前
〜部落に嫁いだものの、住居が部落外にあることから生ずる「新しい部落問題」〜
第5の手紙 あらたな始まりにむかって
心理的差別と実態的差別という従来の枠組みを、関係的差別という視点から問い直し、「差別する者」「差別される者」「差別しない者」といった類型化に代えて、「差別する者であると同時にされる者」としての生の倫理のありかを模索する〜

第4部 手紙、その後
第1章 親の戸惑い/子の戸惑い―特措法後の教育的課題―
〜同和対策事業に関する特別措置法が2002年に失効して以降、部落差別や部落問題について、親や教師から直接的に教えられて来なかった世代が増えているという現実がかかえる新たな問題とは……〜
第2章 〈ポスト同対法体制〉の構想に向けて
〜「部落」や「部落民」を関係的カテゴリーと捉える、差別現象への関係論的アプローチを提唱〜


《著者紹介》
三浦 耕吉郎(みうら こうきちろう)
現職:関西学院大学社会学部教授
専門:社会学、生活史、差別問題、質的調査法
主著:『環境と差別のクリティーク 屠場・「不法占拠」・部落差別』(新曜社、2009年),『屠場 みる・きく・たべる・かく 食肉センターで働く人びと』(編著、晃洋書房、2008年),『構造的差別のソシオグラフィ 社会を書く/差別を解く』(編著、世界思想社、2006年),『新社会学研究』(共編著、新曜社、2016年より毎年刊行),『社会学的フィールドワーク』(共編著、世界思想社、2004年)


ためし読み
   はしがき

 「差別はいけません」「差別を無くしましょう」という呼びかけや標語は、現代社会に広く行きわたっています。それをみると、差別をしてはいけないという知識や認識は、すでに社会を構成している大多数のメンバーによって共有されているとさえいえそうです。
 ところが、現実の巷(ちまた)で起こっている出来事に目を転じてみると、出自や民族や宗教やジェンダーセクシュアリティや職業や能力や年齢や心身の状態(障害や病)等々を理由にした差別事象には事欠きません。
 じっさい、ここ一、二年のあいだに相ついで施行された法律(障害者差別解消推進法、ヘイトスピーチ対策法、部落差別解消推進法)の存在そのものが、こうした差別問題の解決こそ、いままさに差し迫った国民的課題となっていることを告げ報せているといっても過言ではありません。
 よく考えてみると、これは不思議なことではないでしょうか。いったいどうして、人は、差別をしてはいけないとわかっていても、差別をしてしまうのでしょうか。
 端的にいって、私は、差別事象の解消を、「差別はいけません」「差別を無くしましょう」といった知識や認識の水準で図ろうとする啓発(啓蒙)の方法には、決定的な限界があると考えています。
 つまり、「(差別はいけないと)頭でわかっている」からといって、それが必ずしも、私たちがじっさいに社会的な行動をとる場面において、差別をしない(/差別を回避する)という行為選択に結びつくわけではないということです。
 これは、なんとも解きがたい社会学的な難問といわざるをえません。
 本書はこの難問にたいする私なりの挑戦の試みであると、まずは申し上げておきます。

 そのために、この本で私が採用した方法。それは、「人は、どのように差別をしているのか?」という問いのもとに、私たちの常日頃の行動をあらためて見直すとともに、被差別部落で調査をおこなっていくことでした。
 後者の調査については、最初に簡単にその概要を説明しておきたいと思います。
 私が、滋賀県被差別部落へフィールド調査に入ったのは、一九九二年のこと。これが、私にとってはじめての部落とそこに住む人びととの出会いでした。
 それから十六、七年にわたって同県内でなされた「部落生活文化史調査」のなかでも、とりわけ前半の九〇年代にフィールドで体験した数々の出来事こそが、いまの研究者としての私を形作ったといってもけっして過言ではありません。
 本書の第1部から第3部までの文章の多くは、その九〇年代に滋賀県における三つの部落で私が遭遇した出来事やうかがったライフヒストリーを中心にまとめたものです。
 さて、副題や目次をざっとみていただくとわかるように、その第1部から第3部までは「手紙」という形式が用いられています。なぜ、調査報告にあたるものを、私はあえて「手紙」として書いているのでしょうか。
 それは、この文章を、たんに「こんな話を聞きました」「こんなデータが得られました」といった調査内容の報告に終わらせるのではなく、部落の人たちと対話をおこなうなかで、「私という人間が、なにを思い、なにに驚き、なにを感じ、なにを考えたか」ということをきちんと相手の人に伝えられるような文体をあれこれと模索したことに端を発しています。
 そして、まずは、語っていただいた当の人へむけて、つぎには、研究者集団を越えたより多くの人たちへむけて書くという多重的な目的にかなう文体として、手紙という形式を選択したのでした。
 そのことが、じつは本書の題名でもある「エッジを歩く」という発想の誕生にも大きくかかわっているのです。
 たとえば、本書で提起している「(その気もないのに差別させられる、現代社会における)構造的差別」という考え方。これは、思いがけなく「差別者」と名指されてしまった人たち(つまりは差別をする側)の戸惑いや煩悶を理解するために考案した概念でした。 この概念が、先にあげた社会学的難問に一つの解決の道をひらくものであることは、わかっていただけるでしょう。
 ところが、差別される側の人たちにとっても、ときに自分の意志に反して差別に加担させられたり、差別する側になったりすることが避けられないこととしてある、という事実が、じつは部落での聞き取りのなかでもたびたび語られていたのでした。
 差別という現象にもっとも翻弄されてきたはずの差別される側の人たちもまた、自分がいつ差別する側になるかわからないという戸惑いのなかにおかれているということは、私にとって大きな衝撃でした。
 このように、現代社会においては、差別する側もされる側も、どちらも共に、(その意味内容はまったく異なるとしても)「差別者」と名指されるか、名指されないかのギリギリのエッジを歩いている(/歩かざるをえない)のだとしたら! 
 もしかすると、そこにこそ啓発や啓蒙の言説がとらえそこねていた、差別というものの剥きだしの生(なま)の姿があるのではないか?
 このような直観に導かれて、私は、《差別する者であると同時にされる者としての生(せい)のかたち(=生の倫理)》に着眼していくことになるのでした(この点については、詳しくは第3部をお楽しみに!)。

 まぁ、そんな小難しい議論はわきにおいて、まずは、15通の手紙を読んでみてください。
 これらの文章は、なによりも部落に入って私自身がうけた鮮烈な印象をお伝えすることをめざしています。
 そのなかには、もしかすると解放運動や人権啓発の『常識』と、ずれたりちがったりしている部分もあるかもしれません。あえてそのような点にふれたのは、部落の『実像』やそこで暮らす人びとの『ありのままの姿』を伝えるために、どうしても必要と思われたからです。
 それから、今後そうした議論の輪がひろがっていくきっかけとなれば、という期待もあったことを最後に申し添えておきます。
 では、これから私たちといっしょに豊かなフィールドの世界に足を踏み入れてみましょう。そして、そこに住んでいる数々の魅力的な人たちに出会ってみてください。



【関連文献】

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構造的差別のソシオグラフィ―社会を書く/差別を解く

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環境と差別のクリティーク―屠場・「不法占拠」・部落差別 (関西学院大学研究叢書 第 126編)

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