新刊『愛と執着の社会学』

http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/341.html

【版元詳細ページから】
・[編]とされているが、編集者ではない(笑)
・アマゾンでは、まだ画像がない。

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愛と執着の社会学

ペット・家畜・えづけ、そして生徒・愛人・夫婦

[編]ましこ・ひでのり

ヒトはなぜ愛したがるのか。なぜ愛していると錯覚しがちなのか。教育の一部はまぎれもなく調教であり育児は自己家畜化/ペット化をもたらす。愛着と執着をキーワードに「動物としてのヒト」という根源的本質を解剖するあたらしい社会学

定価=本体 1,700円+税
2013年9月10日/四六判上製/207頁/ISBN978-4-88303-341-6


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[目次]

     凡例≒構成と注意 8

はじめに 9

第1部 ヒト以外の動物の位置づけ
  1章 ペットへの愛着・執着 15
     1-1 死や別離が喪失感をもたらす、かけがえのない存在 16
     1-2 たべたいぐらいのペット 18
     1-3 愛着の消失と放棄 21
     1-4 巨大なペット市場の現代的意義 25
  2章 家畜とはなにか 29
     2-1 ペットの前身としての家畜(使役動物) 30
     2-2 家畜(使役動物)の活用分野 31
          2-2-1 ①②食用・日用品系 34
          2-2-2 ③④輸送・耕運系 35
          2-2-3 ⑤〜⑧実働部隊系 37
          2-2-4 ⑨⑩ナビゲーター/セラピスト系 40
          2-2-5 ⑪⑫選手/パフォーマー系 41
          2-2-6 ⑬みがわり系 49
     【2章補足】「動物への配慮」のための基本的知識 53
  3章 えづけと観察の社会学 59
     3-1 えづけの経緯 60
     3-2 「自然観察」の実態 62
  4章 「琉神マブヤー」にみる都市化=非自然化傾向の社会学(3章補論1) 69
     4-1 ローカルヒーロー琉神マブヤー」の特殊性 70
     4-2 「琉神マブヤー」の含意と矛盾 73
     4-3 都市化と非自然化の含意 78
  5章 捕鯨擁護論と反捕鯨論の社会学(3章補論2) 83

第2部 家畜化/ペット化としての対人イメージ
   6章 調教/しつけの社会学:「生徒」やくわりの再検討 93
     6-1 調教/しつけ/トレーニングの含意 94
     6-2 公教育の含意 97
     6-3 公教育にうめこまれた家畜化 100
     6-4 「教育」という論理にうめこまれた「調教」 104
  7章 制服の社会学(6章補論) 111
     7-1 ポルノの定番テーマとしての「調教」と「制服」 112
     7-2 「拘束感」のSM的魅力 113
     7-3 「拘束感」の魅力の男女差 122
  8章 「親権」をとりまく現代的状況 127
     8-1 所有関係としての家族関係 128
     8-2 「自己家畜化」と養育 129
     8-3 「ペット化」空間としての現代文明社会 131
     8-4 人間存在にとっての不可欠な過程としての「自己家畜化」 134
     8-5 「世代的所有」の一方向性 137
  9章 愛人と恋人と配偶者 145
     9-1 「愛人」という表現の辞書的定義と社会的含意 146
     9-2 「恋人」という表現の辞書的定義と社会的含意 153
     9-3 「夫婦」という表現の社会的含意と「愛人」「恋人」との異同 155
     9-4 「親密圏」でのケアと暴力 164
  10章 ストーキングとアディクション(9章補足) 「愛している」という錯覚と耽溺 169

おわりに 少々みじかめの終章と「いいわけ」的あとがきの癒着 179

     参考文献 192
     索引 197

愛と執着の社会学―ペット・家畜・えづけ、そして生徒・愛人・夫婦

愛と執着の社会学―ペット・家畜・えづけ、そして生徒・愛人・夫婦

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【2013/10/31追記】

http://www.junkudo.co.jp/mj/products/detail.php?product_id=3000075535
MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店 2013年10月10日
人文書書評
糖度・粘度ともに高めのテーマを、あっさり且つ明快にまとめた社会学書です。
愛に執着はつきものですが、愛と執着は同一ではない。
しかし、時にその境目があやふやになり、教育が調教になったり、育児がペット化をもたらしたりします。
ペット/家畜、愛人/恋人、その違いとはいったい何か。「所有」という人間の行為から、「動物としてのヒト」の本質をつきつめた意欲作。おすすめです。
人文 武良」



ましこ・ひでのり『愛と執着の社会学』三元社 - 北海道教育科学研究会
「ましこ・ひでのり中京大学教授の新著『愛と執着の社会学』三元社、タイトルからして気になる本です。
 愛とは何か?教育は実は調教ではないのか?独自の鋭い視点からの論考です。
 かつて人類学・動物学の立場から小原秀雄女子栄養大学教授が「人間自己家畜化論」を展開していましたが、教育は無条件で善なるものと言えるのか?人間が本来持っていた自然性を放棄することではないのか?増子さんも、一度考えてみる必要のある視点を提示してくれています。」



【書考空間】愛と執着の社会学 ペット・家畜・えづけ、そして生徒・愛人・夫婦/ましこ ひでのり (著)
「愛着と執着をキーワードに「動物としてのヒト」という本質を社会学的に解剖した本書。
ヒトはなぜ愛したがるのか。そもそもその“愛している”は錯覚なのではないか…。
本書のサブタイトルには「ペット・家畜・えづけ、そして生徒・愛人・夫婦」とあります。「ペット・家畜・えづけ」と「生徒・愛人・夫婦」が並んでいることに違和感を覚える人もいるかもしれません。
しかし、これらの言葉に共通するものこそ、愛と執着。なぜ私たちはペットを愛するのか。ペットの前身とも言える家畜と私たちの関係性とは。なぜ私たちは、えづけ、あるいは調教という行為で支配者になろうとするのか。教育にも調教という行為があるのではないか…。というように、それぞれの言葉がつながっていくことで、社会学的に見た「愛着と執着」がその姿を現していきます。
中でも私が興味を持ったのが、ストーカーに関する項目です。
東京三鷹で、高校三年生の女子生徒が、元交際相手の男に殺害された事件は記憶に
新しいところ。なぜ人はそこまで一人の人間に執着し、殺害を実行するまでになってしまうのでしょうか。
本書によると、ストーキングとはそもそも基本的に「愛している」という錯覚の病理だといいます。相手に迷惑がられている事を示す証拠を封印・歪曲し、すべて独善的・自慰的に合理化する自己中心性があります。
趣味嗜好が複雑化した現代社会において、おそらく、誰もが何かしら愛着や執着を持っていることだと思います。そんな現代人にうってつけの一冊です。

評者:スタッフ・坂本」