佐野直子『社会言語学のまなざし』(三元社)

社会言語学のまなざし (シリーズ「知のまなざし」)

社会言語学のまなざし (シリーズ「知のまなざし」)

http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/さまざまな「話すという事実」において、何がおきているのか。──
「社会言語学のまなざし」には、実際にことばを使っている「話者」のありかたと、その「ことば」が実際に使われているそれぞれの「社会」のありかたが、つねに含まれている。ことばが使われる現場とそこにいる「話者」を徹底してまなざし、そこにあらわれる「ことば」の多様な姿を、多様な形で記述することで見えてくるものとは。

定価=本体 1,600円+税
2015年6月10日/B6判並製/184頁/ISBN978-4-88303-384-3



[目次]

  はじめに iii

1. 社会言語学のまなざし 1
  まなざし① ことばの「多様さ」に目を向ける 2
      ある論文のタイトル 2
      ことばの指標性 5
  まなざし② ことばの「変化」に目を向ける 7
      さまざまな言語研究における、ことばの「変化」への態度 7
      ことばが変わるのではなく、ことばを変える 11
  まなざし③ 「みずからことばを選択する人びと」という話者モデル 14
      ことばの「不自由さ」 14
      「母語話者」というモデル 16
      「選択する話者」モデル 20
      選択のルールと話者 21
      社会言語学者という「選択する話者」 23
  まなざし④ 「多言語社会」という社会モデル 24
      身近な「多言語社会」 24
      「言語」記述の多層性 27
      言語によって分割されない社会、社会によって分割されない言語 29
      「破片」としての言語 31
      「まなざし」だけはもっている社会言語学 33

2. 社会言語学という「枠組み」 37
  枠組み① 言語と方言 37
      「方言」へのまなざし 40
      「標準語」と「方言」――「言語」の政治性 45
      「言語」「方言」という枠組みによるまなざしの違い 48
      「言語」であることの威信と主張 51
  枠組み② さまざまなことばの「変異」――変異社会言語学 54
      「ところ」だけではないことばの多様性 54
      変異社会言語学の誕生56
      変異社会言語学の調査法 58
      言語変化と変異社会言語学 66
      変異社会言語学の限界 68
      「言語」と「社会」を切りはなすまなざし? 71
  枠組み③ 談話・発話――相手や場面ごとに異なる話しかた 76
      スタイル・レジスター・ドメイン 76
      「誰と」話すのか、そしてその周囲 79
      話すための配慮と戦略――ポライトネス 82
      「発話事象」「談話」「会話」研究の枠組み 85

3. 社会言語学の「知の回路」 93
  回路① 「ひとつの言語」を作りだす 94
      「言語は計画できるのか?」という問い――ナショナリズムと言語 94
      国家事業としての「言語計画」 97
      「言語計画」から「こと活」へ?――「言語政策」の射程 103
      「言語政策」の多言語性 111
  回路② ダイグロシアとバイリンガリズム――「多言語社会」における言語使用 113
      ダイグロシアの「発見」 113
      ダイグロシアを打ちやぶる 117
      バイリンガルとは誰か、バイリンガリズムとは何か 122
      社会のバイリンガリズム 124
      「バイリンガル」の種類とその測定 126
      足し算のバイリンガル、引き算のバイリンガル 130
      バイリンガルの言語行動――混淆する「言語」 134
      バイリンガルをおそれるのは誰か 138
      言語の混淆の「文法」 139
  回路③ グローバル化と多言語社会――多様なことばのありかたへ 142
      ことばを数えはじめること 142
      言語のエコロジー 144
      多言語のエコノミー――言語の市場化、階層化、言語帝国主義 145
      英語帝国主義とそのまなざし 149
      「消滅の危機に瀕する言語」の問題とは何か 151
      「ことばを使う権利」を問う 155
  回路④ おわりに――社会言語学の「知の回路」とは 160

4. 知の枠組みと回路のための11冊 163
  知の枠組みのための6冊 163
  知の回路のための5冊 165

  あとがき 169384.htm