寺尾智史『欧州周縁の言語マイノリティと東アジア』

http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-2009-1.html

標準語一色、そして、グローバル化の中で英語一色に塗りつぶされようとしている現在の言語社会にあって、消えゆく言語を継承するために…。
 イベリア半島の「弱小少数言語」ミランダ語、王室のことばだったアラゴン語など欧州の少数言語、そして、世界を席巻する新華僑商人のことばである「温州語」や加古川流域の「播州ことば(播州弁)」などを横断し、衰亡に瀕する少数言語は、いかに保全され、継承されるべきか! その可能性をさぐる知的冒険の旅!

著者プロフィール
寺尾 智史(テラオ サトシ)
1969 年、播州塩屋生まれ。東京外国語大学卒業後、ポルトガル・スペイン等での民間企業勤務ののち、研究者へ転ずる。神戸大学大学院国際文化学研究科修士課程を経て、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了、博士(人間・環境学)。神戸大学助教を経て、現在、東京大学教養学部非常勤講師。日本修士論文賞受賞(2007年)。著書に『多言語主義再考ー多言語状況の比較研究』(共著、三元社、2012年)など。


目次
第一章 ミランダ語――「むくつけき田舎なまり」から「ポルトガル唯一の少数言語」へ
第二章 アラゴン語――王室のことばから谷底の俚言(パトワ)へ
第三章 少数言語保全と言語多様性保全との相克
                  ――アイデンティティ・ポリティクスの末路としての少数言語保全は言語多様性保全につながるか…… 
第四章 言語多様性は継承できるのか――東アジアからことばのグローバリズムを照らし返す
    “上海語”のふしぎや、温州語のネットワークなどにも言及
第五章 液状化社会における言語多様性継承の可能性――その多層的舞台配置を母語環境から探る                    
    播州ことばなどにも言及